母の癌は必ず治る!と
1人で勝手に期待していた僕。


先生からの言葉で
残酷な現実に戻らされた。


期待していた分、
そのショックは相当大きかった・・。


気持ちの整理がつかず、
僕は1階のロビーの椅子に座り
気持ちを落ち着かせようとした。


今にして思えば、
母の前では明るくいなくては!
と常に自分自身を必要以上に追い込んでいたと思う。


時間にしてどのくらいだっただろうか。
水を取りに来たのに、あまりにも時間がかかれば
母に疑問を持たれるからと、長居はしなかったと思う。


病室に戻ると何の話の流れだったかは
覚えていないけれど、


母だけは元気な体に戻れると思っていたので、
母と退院してからの生活について話をした。


母は退院してすぐには、
洗濯物を2階に持っていくのが
できないから僕にやってほしいと
頼んできた。


「もちろん!持って行くだけじゃなくて、干すのも畳むのもやるよ」
と言葉に力を込めて答えた。


無理だとはわかっていたけれど
話を合わせたわけではなく、
母が帰って来た生活を
期待というか
夢見て僕は答えた。


だけど、それ以上に僕としては



「退院できるかもわからないこと」



「普通の生活には戻れないこと」



がわかっていたので辛かった。



「あれもしたい!これもしたい!」



「あれをしなくては!これもしなくては!」



など母から出てくる言葉は
前向きな事ばかりだったので
余計に辛かった・・。



でもこの時、
僕は母に一つのお願いをした。


それは絶対に叶わない事だと
わかっていたけれど......。



それは僕の心の底からの願いだった。
言葉にしようとする時には
目には涙が溢れていた。



「家に帰って来れたら、子供の時みたいに
一緒の部屋で布団を引いて寝よう。
また一緒にはつみと寝たいよ」



言葉の後半から僕はもう
むせび泣きながらだった。


母はまた僕の頬から流れる涙を
親指で受け止めてくれて


「そうだね。久しぶりに良いかもね^^」


と優しく微笑んでくれた。
僕はその穏やかで優しい笑顔を見て
余計に母が恋しくなり、さらに泣いた。



結局僕のこの願いは叶わなかった・・。




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