前夜兄から言われた
あの言葉に傷つきながらも
今後の自分の振舞い方を
決意した僕。


だがそれはどこか意地のようなもので
だったらこうすれば良いんだろ、と
強がって決めたのかもしれない。



この当時、父と兄は
仕事がある日は
朝6時半には
2人とも家を出ていた。


僕が起きる頃には
当然2人もいない。


父は4時に起床して
夕飯用の米を研いでくれていた。


そして夕飯で使う食材を
僕が買いに行っていた。


その為の購入リストが書かれたメモ書きが
いつも机の上に置いてあった。


僕はそのメモを元に
近所のスーパーに買いに行っていた。


恥ずかしながら当時の僕は
母が生きていた頃に
たまに一緒に付いて行っていたものの


スーパーにほとんど足を運んだことが無く
どこに何が売っているのかも
ほとんどわからなければ
調味料なども何が何だか
わかっていなかった。


そんな僕の事をわかってくれていた父は
米や焼きそばや豆腐や総菜など
僕がわかるものだけを
僕に頼んで


野菜や調味料などは
仕事帰りにいつも
自分で買って来ていた。



冒頭でも言ったように
母が亡くなってから
まだ日が浅かった為
僕はアルバイトに
復帰していなかった。



僕は父に頼まれた
おつかいの時だけ
家を出るだけで
あとはずっと家に籠っていた。



この当時
母が亡くなってから
何をしたかというと


(これは父が亡くなった時もそうだったのだが)


僕は何故か部屋の模様替えを
2日に渡ってやった。


悲しいから誰とも
関わりたくない


でもちょっとでも
動きが止まれば
母の事を思い出す。


だから僕は
ずっと家の中で
動いていられる上に
集中していられる
部屋の模様替えを
選んだのかもしれない。



その中でとても印象に残っているのが
部屋の模様替えを行っている時
気を紛らわそうと
何か音楽を聴きながら
行おうと思った僕は


水分補給を兼ねて
1階のリビングに向かった。


1階のリビングに着いて
椅子に座って一休みして
ボーっと向かい側にある本棚に目をやった。


本棚の中段にはCDを収納していた。
一段を全てを使うほどCDは無かったので
左詰めに収納していた。


麦茶を飲み終えて
台所にコップを洗いに行こうと
席を立つとその振動からか
数枚、本棚のCDが数枚
右にパタンと倒れた。


僕はコップをテーブルに置き
倒れたCDを直しに行くと


その数枚のCDは
母が購入したアルバムだった。


昭和の名曲が収録されたアルバムで
よく家族でドライブに行った時
車中で聴いた、母が大切にしていた
アルバムだ。


僕はそのアルバムを手にして
また母を思い出し
寂しさが込み上げ
大粒の涙をこぼした。


そして


「よしこれを聴いて模様替えの続きをしよう!」


と決意して自分の部屋に戻った。



コンボの中にアルバムを入れ
流しながら、
模様替えの続きをした。



先程も言ったが
このアルバムは車の中で
嫌というほど聴いた。



聴いているうちに
歌詞を自然と口ずさむ。




そして少し
集中力が切れ
小休憩。



改めてどんな曲が
このアルバムに収録されているのかと
思いながらジャケットを裏返し目をやる。



ちょうど今流れている曲が
終わりそうだ。


次は何だ?


と考えていると…。




次の曲は



海援隊の



「贈る言葉」



だった。



僕はドキッとした…。



そしてイントロが流れ始めると
僕は集中力をMAXにして
この曲に耳を傾けた。



僕はもう曲の最初で
大泣きした。


もはや1番の所だけで大泣きしたので
後半は全く聴けていなかった。


僕は泣きながら急いで
1階に降りて
母の仏壇の前で


声を出して
ワンワン泣いた。


これは母からのメッセージだと…。



昨日兄から言われた
あの言葉を聞いて


自分の中で無理に強がって
決心した僕の考え方に対して



母が


「無理しなくて良いんだよ」



「自分の気持ちに正直にいて良いんだよ」


と言ってくれているようで
涙が止まらなかった。







贈る言葉の歌詞はこちら
↓  ↓  ↓  ↓  ↓


(1) 暮れなずむ町の 光と影の中
  去りゆくあなたへ 贈る言葉
  悲しみこらえて 微笑むよりも
  涙かれるまで 泣くほうがいい
  人は悲しみが 多いほど
  人には優しく できるのだから
  さよならだけでは さびしすぎるから
  愛するあなたへ 贈る言葉


(2) 夕暮れの風に 途切れたけれど

  終わりまで聞いて 贈る言葉
  信じられぬと 嘆くよりも
  人を信じて 傷つくほうがいい
  求めないで 優しさなんか
  臆病者の 言いわけだから
  はじめて愛した あなたのために
  飾りもつけずに 贈る言葉


(3) これから始まる 暮らしの中で
  誰かがあなたを 愛するでしょう
  だけど私ほど あなたのことを
  深く愛した ヤツはいない
  遠ざかる影が 人混みに消えた
  もう届かない 贈る言葉

  もう届かない 贈る言葉
















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