僕らが病室に着いた頃には
母は意識が戻っていて
落ち着いていた。


僕は母の姿を見ると安堵して
緊張の糸がほどけ目が真っ赤になった。


母はまず父と兄と話をした。
僕はその間、母に背を向け
母から見えない位置に立ち
何回も深呼吸をして
気持ちを落ち着かせようとした。


すると母が
「ゆうじもこっちへ来て」と
弱々しい声で
僕を呼んだ。


僕はその母の声を聞いて
込み上げてくるものがあり
涙を貯めながらも
母の元に向かった。


母も目に涙を貯めていた。
僕は両膝をついて
ベットで寝ている母の右手を
両手で力強く握りしめた。


母もまた僕の手を
今持てる力を振り絞って
ギュッと握り返してくれた。


母の手の温もり、
母の声


母がまだ生きていることを
実感できて、心の底からホッとした。



すると母は
申し訳なさそうに
僕の方に目を向けて


「ごめんね…心配かけて…」


「ううん…大丈夫だよ…」


「いつもゆうじが来るとすぐ母ちゃん体がおかしくなって本当にごめんね…」


僕はその言葉を聞いて
涙がドッと溢れた。


僕は両手で握りしめた母の手を
自分のおでこに何回もポンポンと当てて
泣き続けた。


そして母の顔を見て
むせび泣きながら


「生きててくれて本当によかった……」


と心の底から思っている事を伝えた。


母は


「こんなに心配してくれてるんだ、まだ母ちゃんは死ねないよ」


と言って笑って励ましてくれた。


その顔を見て
僕はさらに泣いた。


そして先生が言った通り
腹水を抜いたこの日から
母の体は日に日に弱っていった…


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