20代で両親を癌で亡くした僕の想い ~心の宿り木を目指して~

21歳の時に母を29歳の時に父を亡くした現在31歳の男です。 僕の経験や想いを書いています。 死別を経験した僕だからこそ誰かの役に立てるのではないか たくさんの愛情をくれた自慢の両親が生きた証を残したくて書き続けています。 身近で見た癌発見前の体の異変、癌発見、入院、抗がん剤、告知、看病、別れの時、それぞれの死から感じた事など赤裸々に書きます。 読んでくれる方の何かのきっかけになってくれれば嬉しいです。

21歳の時に母を29歳の時に父を亡くした現在31歳の男です。
僕の経験や想いを書いています。
死別を経験した僕だからこそ誰かの役に立てるのではないか
たくさんの愛情をくれた自慢の両親が生きた証を残したくて書き続けています。

身近で見た癌発見前の体の異変、癌発見、入院、抗がん剤、告知、看病、別れの時、それぞれの死から感じた事など赤裸々に書きます。 読んでくれる方の何かのきっかけになってくれれば嬉しいです。

あれが母との最期の会話になったとは
この時の僕は知る由もなかった。


兄は病院に残り、
先に帰った僕はお風呂を沸かした。
父は夕飯の準備をしていた。


お風呂が沸き1番風呂に入った。


いつもなら兄が
母と何を話しているのか気にならなかったが


この時は湯船に浸かりながら



ただ純粋に兄と母の会話の内容が
とても気になった。


そんなことを考えていると
門の開く音が聞こえ
玄関のドアが閉まった振動が伝わった。


兄が帰って来た。


兄は手洗いうがいをしに
脱衣室にやって来た。


湯船に浸かっている僕。
扉越しに兄の姿がボヤけて見える。



「おかえり」



「ただいま」



「ねえ母ちゃんと何を話したの?」



僕は唐突に兄に問いかけた。



すると兄は扉越しに



「今日はおまえの様子が最初おかしかったと心配していたよ」



「あ~ちょっと朝、父ちゃんを怒らせちゃってね…」



僕がそう答えて
一旦会話が終わったと思ったら


「今湯船?」


と聞いてきたので


「うん」


と答えると



兄がいきなり
浴室の扉を開けてきた。


僕は普段眼鏡をかけているため
お風呂に入る時は当然メガネを外している。


兄の顔がボヤけて
全然見えなかった。



「母ちゃんね、入院してから『ゆうじが心配』『ゆうじが心配』ってずっと言っていたよ」



「え?」



あまりにも突然で
思いがけない事を
兄から言われ、


僕は兄の言葉を理解するのに
少し時間がかかった。


そして兄は



「今日も帰る時、ゆうじが心配。だからゆうじの事頼むね、って言っていた。」




とさらに僕に語り掛け
兄は扉を閉め、
脱衣室から出て行った。



あっけにとられていた僕は
ようやく兄から言われた言葉に目を向けた。



僕の知らない所で
「ゆうじが心配」と
母が心配をしていてくれたこと



もちろん母が僕の事を
心配してくれていたのは
言葉にしなくても
母から伝わって来ていたけれど


入院した時から
ずっと僕のことを
心配していたという事実を知り


兄から聞かされた母の想いを聞いて
僕は改めて母が
僕の事を考えてくれていた事に
感情が爆発して
声を出しながら泣いた。


そして考えてみれば
母が入院してから、より兄が
僕にコミュニケーションを取ってくれたり
気を紛らわせてくれたりした事がわかり
兄に対しても感謝の思いが芽生え涙が溢れた。



僕は父にも兄にも
そして何より母にも
たくさんの心配をかけたり
たくさん気を遣わせてしまっていたのだと
自分に腹が立った。


父と兄には
母の事だけを考えてあげる事に
時間を使わせてあげたかった。


そして母には自分の体の事、
残りの時間を考える事に
目を向けさせる事が
僕にはできなかった。


現に僕は父と兄の事を心配などしてこなかった。
入院してからずっと母の事だけを考えてきた。


結局僕は皆に
余計な心配をかけてばかりだった。




闘病記ランキング
↑↑ ポチっとそれぞれクリックお願いします 



このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

 コメント一覧 (4)

    • 1. さおりん
    • 2018年03月31日 21:35
    • 先日はわたしの質問に対して、丁寧にお返事をしていただき、ありがとうございました。

      今から9年前のことを多少の会話のニュアンスの違いはあれど、しっかりと覚えていらっしゃるゆうじさんが、すごいなと思います。
      その時は自分のできる限りのことをして濃密な時間を過ごしていたつもりではいたのですが、今となっては【もっとああすればよかった…】と後悔することも多くあります。

      今日のブログは読んでいて、胸が痛くなりました。そんなに自分を責めないで…と言いたくなりました。2児の母としての立場で言わせていただくと、もし今自分が余命を宣告されたら、自分の体のことより、幼き子ども達のこれからが心配です。いや、わたしが年を重ねて、おばさんになっていたとしても、きっと子ども達、そして旦那のことが心配になると思います。

      ゆうじさんのお母さまは本当に幸せだったでしょうね。近くにこんなにお母さまのことを考えてたくさん涙を流してくれるゆうじさんがいらっしゃって。お父さまもお兄さまもみんな素敵で、あたたかい家族だったことが、毎回のブログでうかがえます。

      昨年夏からいろいろな方の闘病ブログを読ませていただきましたが、こんなに胸打たれるブログはゆうじさんのブログ以外にありません。またの更新を楽しみにしております。
    • 2. コウ
    • 2018年04月01日 15:06
    • 先日は支離滅裂なコメントを書いてしまい、大変申し訳ございませんでした。
      9年前のことを多少のニュアンスの違いはあれど、正確に覚えてらっしゃるゆうじさんは凄いなぁと書きたかったのですが、投稿後読み返してみたら何か支離滅裂になっていて、恥ずかしくなりました。

      今日のブログを読んで心が痛みました。
      当時のゆうじさんもお父様もお兄様もそれぞれ『その時の最善の行動』をなさったのだから自分をそんなに責めないでいいよ、と伝えたくなりました。
      みなさんが・・・大切な家族・大好きな家族がいつもお母様の側にいてくれたのだからお母様はきっと幸せだったと思います。
      自分のことを想ってくれる家族と大切な時間を過ごすことが出来たのだから・・・。
      大切な人を失った後で、あれをしてあげられなかったとか、あんなことをしたかったとかいう想いにかられるのも凄く分かります。
      僕もそうだったので。

      僕の・・・従兄弟が死んだ時、自分を責めました。
      何故あいつ(従兄弟)が死ななきゃならないんだ。
      何故自分じゃなくてあいつが死んだんだ。
      自分は従兄弟に何もしてあげられなかったのに、と。

      正直今でも従兄弟には申し訳ない気持ちがありますし、後悔もあります。
      自分が生きてていいのか?とも考えました。
      突然の別れだったとはいえど、です。

      でもゆうじさんは悲しみを乗り越えて、今は前を向いて進んでらっしゃるので、お母様もきっと喜んでらっしゃると思います。

      ゆうじさんのブログのおかげであの頃の自分と向き合うことができるので凄く感謝しています。
      こんなに感動できる、考えさせられるブログに出会えて幸せです。
    • 3. yuuji16
    • 2018年04月02日 16:38
    • さおりんさんへ
      返信が遅くなり申し訳ありません。

      さおりんさんの今回のコメントを読んでいたら胸が熱くなり、なんだか当時の母の気持ちを代弁してくれているようで泣きました。同じ2児の母のさおりんさんの「母親の想い」に凄く感動したのと同時に、何というか心が救われた気がします。本当にありがとうございました。

      余命を宣告されても自分の体の事より、お子さん達、そして旦那さんのことが心配というのはある意味当然なのかもしれないですが、とても素敵だと思います。自分の事より家族の事を考えられるということはそれだけ家族が仲良くて素敵な家族だという証拠ですからね^^ 

      僕は今でも両親と兄が大好きです^^つまり家族が大好きです^^
      僕が自分で言うのもおこがましいですが、僕の家族に負けないぐらい、さおりんさんの家族も素敵ですね^^なんだか本当に嬉しくなりました^^僕は家族が仲が良い家庭が大好きです^^ これからも健康に気を付けて温かい家庭で居続けてほしいと強く思います。

      「昨年夏からいろいろな方の闘病ブログを読ませていただきましたが、こんなに胸打たれるブログはゆうじさんのブログ以外にありません。」
      ⇒昨年の夏からいろいろな方のブログをご覧になった上でのコメントに重みを感じるとともに凄く嬉しくて励みになるコメントありがとうございます!
      これからも書き続けていきます><
      改めて素敵なコメントをありがとうございました。
    • 4. yuuji16
    • 2018年04月02日 16:57
    • コウさんへ
      支離滅裂ではありませんでしたし、謝らないでください^^
      コメントを頂けていつも本当に嬉しいです^^

      先日コメントをくださったさおりんさん同様、今回のコウさんのコメントに心が救われました><
      さおりんさんのコメント同様、温かいコメントで涙が出ました。
      何が答えで何が間違いだったのか、その当時はわからずただ時の流れに流されるまま「その時の最善の行動」を取っていたのかもしれません。たくさん傷ついてたくさん泣いたけれど、母のそばにずっといたから、こうして9年立った今でも強烈に脳裏に焼き付いているのかもしれません。でもそのおかげで母との思い出がたくさんできて、今も心の支えになっています。

      僕はまだ両親や祖父、祖母といった自分より歳が離れた人達としか死別の経験がありません。コウさんの従兄弟の方がコウさんといくつ歳が離れていたかはわかりませんが、おそらく歳が近かったのではないのかなと思います。それを前提として考えると、僕にも歳が近い従姉弟が3人います。縁起でもありませんし、考えたくもありませんが、もし仮に従姉弟の誰かが突然亡くなったとしたら、僕も間違いなくコウさんのように「自分が生きていて良いのか?」など自分を責めたり、精神的にかなり追い込まれると思います。間違いなく。辛い経験をされてきたことに凄く心が痛みます。
      そんな辛い経験をされてきたコウさんがこうして僕のブログに来て下さった事、また僕のブログを通してあの頃の自分と向き合うキッカケになれた事に、誇りを感じるとともに改めてこのブログを書き始めて、書き続けてきて良かったなと心の底から実感することができました。

      「こんなに感動できる、考えさせられるブログに出会えて幸せです」
      ⇒こんな素敵なコメントを頂けたことに恐縮するとともに、これからも書き続けようと
      改めて決意することができました!ありがとうございました。
コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット