母がリラックスできる音楽。
僕はそれを求めてTSUTAYAを訪れた。


リラクゼーションコーナーに行き、
水のせせらぎの音などが収録された
CDを借り、家に帰ってカセットにおとした。


カセットにダビングしている時間を使い
改めて病院に向かおうとする。


母が好きだったAIさんのStoryは
以前から家族でドライブに行った時などに聴いた
僕が作った「はつみコレクション」のMDに既に入っていたので
早く聴かせてあげなければと思い
僕のMDプレイヤーを持って行くことにした。


準備ができ、いざ病院に向かおうとすると
足が止まった。


(そうだあの曲も入れよう)


僕はもう一度TSUTAYAに行き、
その曲のCDを探したが見つからなかった。


急いで家に帰り、僕は自分の部屋に駆け込む。
そして一冊の本を取り出し、


(よし!)


と、ある決意を持って
改めて病院に向かった。


病室に着くと
母は起きていた。


胸を撫でおろし
早速持ってきた
MDとMDプレイヤーを渡す。


はつみは凄く喜んでくれた。
その喜んだ顔が僕を元気にする。


そして僕はカバンから
一冊の本を取り出した。


その本とは中学の時の
音楽の教科書。


ボロボロのその本を見つめ
僕は深呼吸をして
覚悟を決めて母に切り出した。


「はつみに聴いてほしい曲があるんだ。でもTSUTAYAに行ったらCDが見つからなくて…」


「下手くそだけれど、ここで歌って良い…?」


僕は超がつくほどの音痴で
音楽の授業のテストではクラスメイトに笑われたり
合唱コンクールなどでは隣の人に音が取れないから
僕側の耳を塞がれる


それぐらいまでの自他ともに認める音痴だった。
でもそんな僕でもこの曲だけは母に聴かせたい。


僕は断られるのを覚悟で母に頼んだ。


母はニコッと笑い


「え~耳が壊れるな^^ でもゆうじの頼みだから、聴かせてもらおうかな^^」


と僕の頼みを聞いてくれた。


僕は右手の甲で
涙を吹き払い


寝ている母の近くに
椅子を持って行き、
本を開いて歌い始めた。


恥ずかしさや照れもあり、
いくら個室と言っても
大きな声で歌うわけにはいかない。


また突然、看護師さんが入ってくる可能性も高いので
小さな声で、しかし心を込めて歌い始めた。


この曲は中学生の頃に
「第2の校歌」という位置づけなぐらい
数多く歌った曲。
それこそ入学式や卒業式などでも。
母も少なからず縁のある曲だった。



「たとえば君が傷ついて くじけそうになった時は かならずぼくが そばにいて
 ささえてあげるよ その肩を」


実際には一小説ごとに涙が溢れ、
言葉が出てこず、
何度も止まりながらこの歌詞を歌った。


時間にして5分ぐらいかけて歌ったと思う。
泣きながら歌ったのは人生初めてだった。


下手くそだけれど心を込めて
精一杯母の為に歌った。


母はゆっくりと右手を上げ
僕の手を触ってくれた。


そして歌い終わって
しゃくり泣きながら
母を見つめると


母は笑顔で


「下手くそ^^」


と言って僕の目を見て微笑んでくれた。


僕はそんな母の顔を見て
涙がドッと溢れ
母の手を握りしめた。


母は


「ありがとう。ゆうじの優しい想いが伝わって来たよ^^」


と言ってくれ、
僕はその言葉を聞いて
ひたすら泣いた。


「はつみ…大好きだよ…。」



良かったら聴いて下さい。











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