父とまた一緒に暮らせる可能性が高い!
それだけで僕の心は喜びで満たされた。


母の時に叶えられなかった事を
取り返せた気がして…。


僕は父の病室に戻った後、
主治医の先生が挨拶に来てくれた。


先生からは父の肺に水が溜まっているので
まずは肺の水を抜いていく治療をしていくとだけ
告げられた。


先生は父に癌の疑いがある事は言わず、
また父も癌の可能性があると自分で感じていながら
先生に聞く事はなかった。


僕もあえて口を出す事もせず、
先生からの説明に耳を傾け、
説明が終わり退室する先生にお辞儀をして見送った。


結局、検査前に2階の待合スペースで先生に
「癌の疑いがある」と言われて以降、
先生から何も言われていなかった。


退室した後に先生を追いかけ
先生に説明を求める事もできたけれど
僕は”あえて”しなかった。


もし危険な状況であれば
母の時のようにすぐに呼び出されて
説明をされていただろうし、
それをされなかったという事は
父は危険な状態ではないのだろう、と
また都合良く考えたから。


そしてそれ以上に
【聞くのが怖かった】
というのが正直な気持ちだった。


自分がアクションを起こす事で
現状の平穏があっさりと崩れ
また残酷な現実を突き付けられるかもしれない。


いくら母が亡くなってから
いつか訪れる”この日”を”この時”を想定して
過ごしてきたつもりでも
いざ目の前に”この時”が訪れた時、
僕はとてもではないが
自分からはアクションを起こせなかった…。


このまま平穏が続いてほしい、
ここからまた【歯車が動き出す】のが怖くて
そっとしておこうと逃げの気持ちが勝ってしまった。


僕は先生を見送った後、
父に頼まれた入院グッズを取りに行くのと
親戚の叔父と叔母に父が入院した事を報告する為に
一旦自宅に帰る事にした。






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