その時は突然やってきた。
時は2016年1月。


この日も僕は父が作ってくれた夕飯を食べた後、
いつものように父にマッサージをした。


この日は兄が夜勤の為、
深夜1時まで仮眠が必要だった。


2階では兄が夜勤に備え寝ている。
僕は父に1分でも熟睡してほしいと
入念にマッサージをしていた。


父はここ最近、背中が痛いからと
そこを中心にやってくれと僕に頼んできた。


僕はただ単に筋でも痛めたのかもしれないと
深く考えずに、父に言われた通り
背中を中心にマッサージを行った。


すると背中のマッサージをしてすぐに…
父の呼吸がいきなり…


過呼吸というか


息苦しそうに


見たこともない
不自然な呼吸の仕方で


いわば呼吸困難のような状態で
苦しみ始めた。


僕はマッサージを止め
目の前で突然起きた父の急変に動揺し


何度も必死に


「信ちゃん!?大丈夫!?信ちゃん!?」




と声をかけ続けた。


だが、だからといって
声をかけることしかできず
しばらくただただ
経過を見る事しかできなかった。


ここには僕しかいない。
でも怖くて何もできない。


父はうつ伏せな状態から
自力でどうにか仰向けとなり
少しずつ呼吸の仕方が戻って来た。


そして父は



「熱い…熱い…」



としきりに熱がっていた。


僕はそんな父の姿と声を聞いて
頭が真っ白な状態から
少しだけ冷静になることができた。



そして慌てて台所に行き
グラスに水を汲み
父の所に持って行った。


「信ちゃん水だよ、飲める?」



と声をかけた。



すると父は


「ああ…」


とだけ何とか返事をしてくれた。
僕は先程までの急変した父の様子が
だんだん戻って来た事にホッとして
涙が出てきた。


仰向けに寝たままの父に
水が入ったグラスを渡そうとすると
父はハアハア言いながら
左手で僕に向って
無言で手で制した。


そして自力で仰向け状態から
起き上がりベットの端に座った。


僕も隣に座り、目を真っ赤にしながらも
父がいつでも水を飲めるようにと
片時も父の合図を見逃さないように
父の一挙手一投足に目をやった。


そして父がようやく右手を
僕の方に持って来たので
父にグラスを手渡した。


父は少しだけ水を飲んだ。


僕は父の顔を覗き込むように
どこか甘えたような声で


「どうしたの?信ちゃん?」



と目を真っ赤にしたまま
問いかけた。


「わからない…急に体が熱くなってきて…」


僕は


「今日は車の運転止めときな、危ないよ…」



と父に言葉をかけた。


それと同時に父が運転できないイコール
兄はいつもより早く家を出なければならない。


兄は寝ているので
今起きた父の異変を知るわけもなく
深夜1時まで寝るつもりだ。


だが深夜1時には当然電車も
もう走っていない。


だからこの後、兄を起こして
父が急変した経緯を説明し
電車かタクシーで行ってと
お願いしなければと考えていた。



すると父は


「今は何時だ?」


と聞いてきた。



僕の記憶では
19~20時の間だったと思う。



僕が時間を告げると


「とりあえず22時まで様子を見る。」


と言い出した。


僕は何を言っているんだとばかりに
父に対して語気を強めに



「危ないよ!またいきなりなるかもしれないじゃん!」



と言ったものの


「とりあえず今から寝る」


と僕の言葉を聞き流し
また寝始めた。


そして僕に電気を消してくれと頼み
僕は言われた通り電気を消した。


だが先程起きた父の異変に動揺し
僕はその後、30分ぐらい
父が寝る暗闇のリビングで
椅子に座りながらタオルを口に当てて
不安と恐怖と安堵で涙が溢れ
声を殺しながら父が寝るまで見守った。


その後無事に父はいつもどおり
大きないびきをかきはじめたので
2階の自分の部屋へと調べものに向った。


この当時の僕は少しだけ
何か大きな病気なのかとは思ったものの
命には別条なく何か一過性の病気か
心臓の病気だと考えた。


最もそう自分に言い聞かせ
安心したかった。


しかしこれが父の初めての異変で、
「父からのSOS」だっただなんて
知る由もなかった・・・。




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