お風呂から出て
気丈に振舞い
夕飯を食べて
僕は寝る準備に入った。



兄から聞かされた母の想い


僕は母が兄に言った


「ゆうじが心配」


と言葉を思い出し、
またその言葉を言っている母の姿を想像して
1人ベットの中で声を殺しながら
泣き続けた。



そして家中が
寝静まった夜中


僕は2階で寝ている父と兄を
起こさないように
静かに1階へと降りた。


顔を洗い麦茶を飲もうと
台所の電気をつけた。


冷蔵庫のモーター音


壁掛けの時計が
秒数を刻む音。


ただ麦茶を飲んで
すぐに寝るつもりだった


だが静まり返ったこの環境が
僕の心を震わせた


ここ数日、日に日に弱ってきた
母の姿をふいに思い出してしまい
一気に涙がこぼれた。


ここで僕は人生で初めての事をする。


今でもあの光景は忘れない。



僕は唐突に顔を上げた


電球の光が目に入りまぶしかった



僕は一度目を瞑った。


涙が頬に伝う。


僕は改めて目を開き
顔を上げたまま


頬に伝う涙を拭うことなく
口を開いた





「神様…お願い…これ以上はつみを苦しめないで…」





さらに涙が溢れる。






「はつみが苦しまなくて済むなら…おれは…おれはもう…」






言葉に詰まる僕。






「おれはもうはつみとお別れしても…いいから…」






僕はそう言い終わると
下を向き、目を瞑りながら
泣き続けた。




今までの人生でこんな風に
神様にお願いした事など無かった。




もっと言えばこれが
今現在、最初で最後。




別に神様の事を信じていたわけでも
信じていないわけでもなかった。




でもこの時の僕は違った。


というかこんな事を言える相手が
神様しかいなかった。



まさか最初で最後の神頼みを
神様が叶えてくれるとは思わなった。



この数時間後、
母が最期の時を迎える。


この時の僕は
まだそれを知らない。



そして麦茶を飲み
再び眠りについた。



そして翌朝
僕は父からの1本の電話で
飛び起きる事となる…。


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